VRサイクリング 山陽海道10日目。山口県中央部の瀬戸内海沿岸を往く。工業都市周南市の中心徳山駅をスタートし西へ進む。内陸を通ることが多い西国街道がたまに海岸に出る区間がこの先にあり、五年前そこを通ったので、重ならないように逆に一旦北の山間に入るルートとした。それで湯野温泉を通り野峠を越えて、佐波川沿いに防府市の西側を掠めて再度海岸近くの道へ。車海老の養殖で知られる秋穂地区の原野を突っ切って、山口湾を横切る周防大橋を渡る。さらに海岸に沿って南方へ進むとまもなく昔の湊町阿知須。さらに海水浴場に適したビーチが断続的に続く海岸近くの道を進み、レジャー基地となっている丘の上のときわ公園を一巡りした後、丘を下るとスタート地点同様工業都市として繁栄する宇部市街に到達。繁華街を巡って宇部新川駅をゴールとする85kmの行程。前半徳山から防府の西までは迂回の山道、中盤の秋穂は海岸というより原野の道と、史跡やビュースポットなどには欠けた道筋で来て、今回は退屈なまま終わると思われたが、後半周防大橋を渡った後宇部へ向かう道筋はなかなか目を引く風物が多く盛り返した感があった。まず大きな白いドームが目印の広大な山口きらら博記念公園が左手に広がる。2001年開催の21世紀未来博覧会の跡地で大規模なスポーツ・レクリエーション施設が展開する。そこから打って変わって江戸時代から廻船業で栄えた古き湊町。今でも居蔵造の建物が多く見られ歴史的景観を維持している界隈を通り抜ける。その先は、美しい海岸線を愛でつつ進む道。干潮時に日本有数の広大な砂州が出現する岐波海水浴場はここでしか見られない海岸風景であった。そしてときわ公園は山口県最大の湖ときわ湖の湖畔に広がる。最大と言っても大きな溜池なのだが、江戸時代に作られ世界かんがい施設遺産に登録されている史跡でもあり、東洋のレマン湖とも呼ばれる(それは言い過ぎだと思うが)美しい湖。この周辺に博物館、動物園、遊園地も配置されて総合公園として整備されている。特に素晴らしいのは野外彫刻。UBEビエンナーレという野外彫刻の国際コンクールを二年に1度ここで開催しているのだが、常設展示も百点を超え湖畔風景とマッチして美しい景観となっている。そして最後に宇部市街。灰色に沈んだ工業都市というイメージだったが、なかなかどうして賑やかでレトロな味のある繁華街の市街地が広がっている。エヴァンゲリオンの聖地としても有名で、映画「シン・エヴァンゲリオン」のロケ地が町中に点在し庵野秀明監督も宇部市出身ということで、アーケード街にエヴァンゲリオンのモチーフのシャッターが点在していた。それからユニクロの創業の地も宇部市街にあった。ということで想定外になかなか楽しいルート終盤であった。さて山陽海道はこれにて打ち止め。この辺から山陽の西端、下関への海岸沿いは既に五年前の西国街道で走っていることがその理由。その代わりに今までVRで走っていないルートで下関へアプローチする。
2025/12/14 山陽海道 10日目 徳山〜防府〜秋穂〜阿知須〜宇部
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