VRサイクリング 能登の旅も最終日。能登半島西岸を半島の根元まで駆け抜ける。 かつての朝市の復活を祈願しつつ輪島を出発し、しばらく国道に沿って内陸を走る。かつての曹洞宗大本山總持寺祖院のある門前を通り海辺に出たところで古い家並みが残る黒島集落を通りすぎしばらく行くと能登でも指折りの風光明媚な海岸地帯能登金剛に入る。ダイナミックな海岸美と合間ののどかな漁村が続く海岸沿いの道を進み、歴史ある深い入江の漁港福浦を過ぎると海岸段丘上の真っ直ぐな道が続く。志賀町を過ぎた先に名刹妙成寺と能登国一宮気多大社という名のある寺社に立ち寄った後ゴールの能登半島根元の町羽咋の駅前に到達する88kmの長距離行程。学生時代に能登半島を旅した時には羽咋から輪島までバスを乗り継ぎ途中丹念に見て回ったので、今回逆ルートではあるが記憶が刺激され懐かしい感覚に捉われた。今回のルート上にはメジャーな観光地はないが、その分観光客が押しかけない長閑でかつ美しい風景が続く道筋であった。特に能登金剛と総称される奇岩、洞門、海食崖の続く海岸地帯は奥能登以上に風光明媚でかつ陽光に溢れていて目の保養となった。海岸沿いに時折現れる歴史ある家並もこの辺まで来ると地震の影響も少なく情緒を味わう余裕があった。特に心に残った2箇所。一つは北前船の船主船員の居住地だった黒島地区。重要伝統的建造物保存地区に認定され海岸の小高い段丘上にうねうねとどこまでも続く焦茶色の古い家並が特徴的だ。もう一つは福浦港。切り立った海食崖の続く海岸線でここだけ深い入江の天然の良港となっていて古くから大陸との交易や北前船で賑わっていたという。日本最古の木造灯台・旧福浦灯台があり港に面した渋く古い家並が魅惑の情景を映し出しており映画のロケ地として利用されるのも納得。それから今回のルート特有なのは雛には稀な大寺院や大社が点在していたこと。曹洞宗大本山總持寺、日蓮宗北陸地域本山妙成寺、能登国一宮気多大社に立ち寄ったが、どれも高い格式ながら田園地帯の中にあり特に賑やかな門前町が展開されていない。不思議にもこんな本山がありながらも能登は浄土真宗王国でこの地域の寺の9割は浄土真宗だという。とにかくルート後半は能登地震の影響が見られなくなり正直ホッとした。次回はこの流れで金沢を目指す。